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『イン・ディス・ワールド』 2002年/イギリス マイケル・ウィンターボトム監督作品
 

インディスワールド



 荒れ果てた大地に広がるパキスタンの難民キャンプ。

 不安と絶望と少しの期待を抱く人々が、時間を持て余し、他律的に生活している。


 この作品は、そこで暮らす少年ジャマールと従兄弟のエナヤットの亡命物語である。

 子供に未来を託すのは、どこの国の親も同じ。キャンプで厳しい生活をしている彼らにも夢が存在する。

 その夢を叶えようと、彼らはイギリスを目指して陸路で旅に出かけが、その先にはとてつもない試練が待ち構えていた。

 旅は旅でも、亡命という名の旅の試練には、単なる危険ではなく、生命に大きくかかわってくる。自国を捨て、自国の言葉を捨て、やがては自分自身を捨て、身体と精神をボロボロにしながらも、前へ前へと突き進む。頼みの綱はお金のみ。

 そんな過酷な旅を続ける二人から、人間の生命に対するエネルギー力の強さを感じるのだ。

 特に、フランスからイギリスに渡るシーンでは、かなりリアリティーに描かれていて、こちらまで緊迫する。

 この作品中、エナヤットが脱落する場面がある。その後、ジャマールが彼の動向について聞かれた時に話す台詞に注目。

 「彼はこの世界にいない」

 この短い発言から、強靭なる生命力を感じさせ、生きるためには得るものばかりでなく、捨てるものも必要なのだと、シビアな面も覗かせる。

 一般的に、われわれには夢や希望を誰もが持つことができる。だが、人によっては、生まれた場所や育った環境によって、それらを叶えることができない人がいる。

 そんな彼らから伝わる生命の迫力から、誰もが幸せについて、生き方について、考えさせられる作品なのではないだろうか。

 ちなみに、監督のウィンターボトムは、『日蔭のふたり』、ボスニア紛争を描いた 『ウェルカム・トゥ・サラエボ』、小粒なドラマ 『ひかりのまち』、音楽映画 『24アワー・パーティ・ピープル』、SF映画 『CODE46』 とジャンルの全く違う作品を次々に手がけ、高い評価を得ている。

 そして、この作品は、2003年ベルリン映画祭金熊賞を受賞している。



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04.09 (Fri) 05:21 [ 未分類 ] CM0. TB0. TOP▲
  
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